マン・ロランがもし本当にそれらの言葉を云ったのであったら、やっぱり歴史の進みというものは、ある巨大な価値をもったものの、命数をもつきさせる時期をもつものであるということを感じなければならないと思います。彼等夫妻がある都会のホテルに滞在していたとき毎日細君に花束を届けてよこした一人の人間を、そのことからいい人間、チストカが意外ないい人間という風に判断するとすれば、それは最も凡俗な女流作家或は文学少女の人物評価の基準でなければなりません。現代という時期があらゆるものの評価のよりどころを狂わせていることはどれ程の激しさでしょう。第一次の大戦より確にその点もすすんで居りますね。それはそうだわね。だってあの頃ヒヨヒヨしていたムッソリーニが今日は三巨頭[#「三巨頭」に傍点]の一人なのですものね。だから二十五年は面白いと思います。
ハハアとあなたはニヤリとなさいますでしょう、「ユリはわかるものを読めば喋り出さずにはいられないのだナ」と。そして、これをかいているのは二十二日なのよ。一週間も経ちました。その間にいろんなことがあって。
二十日までに『文芸』の方をすっかりまとめてしまおうとして熱中してい
前へ
次へ
全590ページ中511ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング