ているそうですから休みの日を同じになるようにしてやって、母子で休日をたのしめばようございます。
今年の二十三日のために、何を頂きましょう。数々のほかに。去年はこの万年筆でした。なかなかよく役に立って、こまかいケイに沿うていろいろの幾万の字は皆このペンがつむぎ出したのですもの。今年は何を頂きましょう。何を下さりたいでしょう? こうして机の上を眺めて何がたりないかしら。私として何が欲しいかしら。このガラスのペン皿は決してとりかえたくないし。ベッドのよこのスタンドは、あの水色のよ。よくもつでしょう? これもこれでよし、と。時計だって何しろ夏は十五分ぐらいおくれるという、可愛いい生物があるのだし。何とマア私は何不自由ない[#「何不自由ない」に傍点]のでしょう(!)こんな折でないと私はきっと一つ帯留を買うことにしたでしょう。でも、今は駄目です。石にふさわしい金属もつかえないのですから。従ってそういう種類のものは駄目。本当に何かほしいこと。どうかお気が向いたら考えて下さい。あまりじきこわれるものもいやだと思うし。
私のお誕生日の祝の品先渡しというので、栄さんが新村出の『辞苑』をおくりものしてく
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