十何枚か、あと三十枚、四十枚というのですから、そんなに貧弱でもないし、かきあつめというのでもありません。このなかであなたの御存じないのはどれかしら。「牡丹」「顔」「一本の花」はいかが? 初め入れようとして入れないのは「心の河」、これはお話したとおり。それから「高台寺」、これは作者の生活的な稚さが、いやです。「街」もそういうところがあるが、「街」は人間のおかれている歴史への無知識にすぎず、「高台寺」は、ある生活にある女の鈍感さがあらわれていていやです。或る茶屋のおかみに今よめばうまく女主人公があやなされているのにそれを心付いていない鈍さがいやでやめました。「伊太利亜の古陶」もわるい。やはりその小市民風なつべこべを自覚していないで、それにのっている。面白いでしょう? そういう作品を生む生活がつづいて、やがて「一本の花」をかいて、生活への激しい疑問にぶつかっているのです。そしてその冬外国へ行っている。全集の中へ入ると、その過程として面白く、しかもね、そのいやな「高台寺」に、やはり「一本の花」及びそれ以後の動きの芽はあるのです。舞妓とさわいでいる、そんな気分についてゆけなくて、とりちらした室の
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