その匂りのなかに神経のほぐされてゆく気持、いい気持でしょう。暖く血がめぐるでしょう。おわかりになるかしら、私はあなたを丁度快適なほどに血のめぐりを暖くそして速くしてあげたいと、いつも思うのよ。休みにそれがなる程度に休ませないようにして上げたいの。これはやさしいことではないと思えます。あるところまで集注されて、それがおのずからほぐれてゆくリズムは大変とらえがたいのですものね。雲の風情はとらえがたいのですもの。
 この間うちから一度かいて見たいと思っていることがあります、それは別封で。この手紙十七日につくように。窓からヒラヒラと舞いこむおとずれになるように。では、ね。

 十月十三日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

 十月十三日  第七十信
 これは先ずお約束の表ではじめなければなりません。この十日間は好成績でないわね、第一防空演習でしょう、第二が小説でしょう、尤もあとの方で非常によくないのは九日の夜だけですけれど。
   甲 二つ
   乙 五つ
   丙 二つ
   丁が一つ
 よみもののこと、プランが変えられて、私はほんとうにほっといたします、どうもどうもありがとう。あれ
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