て有効に利用し、そして来た嫁とともに、ああいう話がされるという情景を思いやると、私はやっぱり切ないと思います。
足元に裂けて現れたこういう深淵を、それは深淵でないと私に云うことは出来ません。そこにそれがなかったことにも出来ません。けれども、私たちの生活への意志によって、私はその淵の上にも橋は架けるでしょう。何故ならその淵にもかかわらず、対岸との交渉は継続されなければならないのですから。
美しく描かれているままで保たれている感情を、結局は抽象的にしかあらわされない卑俗リアリズムでごたつかせる必要はないという考えで、ずっと来て居りましたが、こういう種類のことは、私ひとり黙って耐えている方がよいこととはすこし違うでしょう? これから先の複雑な推移のなかで、いろんなニュアンスをとって、その※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]リエーションがあらわれたりして、葛藤めいたものになるのはいやですから。
私たちはこれまで所謂不幸というようなものを入りこませずに生きて来ました。これからもそのように生きなければなりません。私たちは、生活の地形にはっきりと知った一つの淵をよく理解し、そこには流失の憂い
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