ころがひどく気に入りました、高原的な眺望で。これも初めて芦の湖を小さい汽船で渡りました。仙石原を通ったとき、私の心に一つの遠い夢想がわいて。きっとあなたのお気にも入る風景だったものだから。そこのエハガキがなくて残念です。

(※[#ローマ数字3、1−13−23])こちらもいろいろの生活資料が統制でおかみさん大苦心です。砂糖、炭、米、東京で切符のものは(マッチ、砂糖)こちらではどうしても手に入りません。これから来るのならば、みんな持参というわけになります。魚も十分でありません。ここは所謂避暑地でないためにこういうときは不便ですね。保田の稲ちゃんもショーユを買うのにいい顔をされないと云ってよこしました。

(※[#ローマ数字4、1−13−24])本をよまない覚悟でいるので、子供まじりに何だかだというのは却ってよいかもしれません。紀というのは黒鯛釣りに夢中です。太郎がそれにくっついてゆく。私やああちゃんは、赤子《アカコ》と森閑としたあの食堂のところで風にふかれます。けさは太郎とお恭ちゃんとをつれて海岸へ出て一寸遊んでいたら、雨が落ちて来ました。頭の苦しさ大分直りました。左の目も馴れて来たよう
前へ 次へ
全590ページ中330ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング