朝は若い二人とも機嫌よい笑顔でようございました。お嫁さんは御飯のとき一寸下へ来るきりなの。そして夕刻から髪結が丸髷に結ってやって、又きのうの式のときそっくりの大した装をして、お母さんもそのなりをして、提灯つけて組合の家々をまわりなさいました。そしてかえって来てお嫁さんは髪を洗い、八日の里がえりの準備です。大したものでしょう? 全く飾られ、見られるための結ったり、といたり、着たりぬいだりです。ふだんだと式を家でして、そのまま夜通し客がいるのですってね。そして朝はもう女客、夜男客というのだってね。そういうお客は秋だそうです。そのときまでにお支度(キモノ、タンスその他)するのだそうです。
 八日にお母さんと三人|玖珂《クガ》まで行って、そこから湯野に出かけたわけでした。
 友子さんという子は可愛いひとよ。眼が三白《サンパク》っぽい(きっとそれが魅力なのよ達ちゃんに。だって婦人雑誌の口絵の女はそういう眼か、さもなくば睫毛の煙ったようなのですから)丸っぽい顔で、しなやかで、笑うときなかなかゆたかです。言葉だって何だってちっとも田舎ではありません。声もいいわ、ふくみ声の調子だけれど、ガラガラではな
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