れ自身方便的な云いまわしではなくて、表現しようとする事物の核心のはっきりしたとらえかた、テーマのはっきりした把握、その必要の範囲への理解などから生じるものであって、やはりここに云えることは真のリアリズムの生命的なリアルな動きというものです、それとしてあらわれるのが文学において正しい表現としてのアダプタビリティである、実にそう思い、大変多くのことを考えました。
 ねえ、そして、私には一つの深い深いよろこびがあります。それは時間と成長とのいきさつのことです。何年間というようにして数えられる年限、そして、その時間の外皮は文学のリアリズムを固定させるかのような条件であるにかかわらず、生活の力と生長の力はその外皮の予想を克服して実に感覚として今日をとらえているということは何といううれしさでしょう。つよくそのことにうたれました。資質のほんとの良質、それとたゆみない努力、感受性、それらに満腔の拍手を送りたいと思います。評論記述のこの美しさを書いている人自身果して私が感じるほどにつよく知っているでしょうか、或は知らず天真のところがとりもなおさず、そのよさの生粋さであるのかもしれませんけれども。ああと私
前へ 次へ
全590ページ中218ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング