どんな写真帖あるかしら。丸善なんか見ましょう。もうああいうのは入りませんからねえ。
 本のこと、(小説)ともかくこの『チボー家の人々』をお送りして見ます、それとマリの『街から風車場へ』と。女の作家でも、なかみの造作のそれぞれちがう姿、そのちがいにやはりその国の文化の造作の浅厚の差、単複の差、いろいろあらわれていて感想をうごかされます。(「暦」など思い浮べると)
 ああ、私は何はどうでもかまわないから、営々として勉強いたします。ただ書くだけでなくて勉強をいたします。勉強していなくてはかけないものを益※[#二の字点、1−2−22]かきます。そして、あなたからときどきはおまじないと御褒美頂いて、それで結構だわ。では明日。

 五月十二日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

 五月七日  第三十三信
 今昼すこしすぎ。間もなく人が来ます、日大芸術科というところに創作科というのがありますかしら。そこの女のひとが記事をとりに来るのです。もう女の子六つを下にして三人の子供のあるひとです。いろいろ生活への疑問から学校に入ったのですって。ものをかきたいと思って。そういう一生懸命な心持、しかも
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