、大酒毎晩で、病室のとなりが食事部屋で、そこでのんで唄って踊るのですって。そして細君はそれをつらく思って、「この間も私に出てゆけっていうわけなのかしら」と私に相談しました。或は「別の家をもつようにすすめろというわけなのかしら」と。だから私はこう云ったの、「とにかくさわぐにしろ、家でさわぐというのは、やっぱり家に対して、妻に対して自分の義務を感じているとも云えるので、今時の男が本当に何かやりたいと思って、一々女房の許可を得てやるなんて甘っちょろいものではないのだから、こっちからそんなことにさばける必要はない。したいことはしているのだから。只もう三年もの病人で、それは気もむしゃむしゃするのだろうからよく劬《いたわ》って、互につらいところをしのいでゆくしかないでしょう」と申しました。この夫婦は不幸な夫婦なの。しかし、はっきりわかれず一緒にいる以上相せめぐのが習慣で暮すのは、やはりひどいことですものね。でもこのひとの話からも私は本当に結婚生活における女というものを考えます。私たちの友人たちの間でも、GさんにしろHあたりへつとめ口をさがして行ってしまったのは、やはり妻になった人が永い病気になった
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