までも皆島田へ送りかえされて来ているそうです、多賀ちゃんと富ちゃんがよんでいたそうです。時間がないのでしょうね、そちらへたよりがありましたろうか。
 隆二さんたらこんどの手紙には饅頭《まんじゅう》づくしです。人を見込んで書くにあらず、自然にそうなるなり、なお悪いと笑うだろうか、とありました。この前のは羊羮づくしで、何とか彼とか菓子やの名を並べて千金賜えとあるから、そんな店があったかしらと返事にかいたら、一銭おくれということなり、と三ヵ月もたって教えてよこしました。一銭より千金たまえの方が景気よい由です。相変らずです。栄さんは妹母子を送って高田へ雪見にゆきました。二人でやっていたのは中途ですが。
 どうぞお大切に。月曜日に。

 二月二十五日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

 二月二十五日  第十九信
 きのうの速達。そしてけさ二十一日づけのお手紙前後してつきました。きのうの分から。
 書物のこと承知しました。おっしゃっている本もずっとあの頃から一つ包としてあります。『年報』もそのようにしてありますから。目録念のためにかいておきましょうね。
 (1)[#「(1)」は縦中横]『朝日年鑑』  九年度
 (2)[#「(2)」は縦中横]  同     十年度
 (3)[#「(3)」は縦中横]『医典』
 (4)[#「(4)」は縦中横] 小南の本
 (5)[#「(5)」は縦中横] 浅田の本
 (6)[#「(6)」は縦中横]『経済年報』  八年度(四冊)
 (7)[#「(7)」は縦中横]  同     十四年度(四冊)
 (8)[#「(8)」は縦中横]『組織論』
 (9)[#「(9)」は縦中横]『月刊ロシア』合本 一冊
     十五冊
 只今はこれだけです。もしお気づきがあったらお知らせ下さい。
 足袋は今はくのがありませんから、純綿ではない何かお送りいたします。そちらのひどくなったのを、やはりとりすてにしないで送って下さい。古いのでも手入れをしておけば木綿は木綿の甲斐がありますから。どうぞいろいろのもの(下につけるようなものも)そのおつもりで。これは特別お願いいたしておきます。
 私の名代のこと、多賀ちゃんはもうそのつもりで心得て居ります。しかしこの間うち一緒にそちらへは行きましたが、お目にかかるための順は分っていないから明日つれて行って、すっかり教えましょう。勿論
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