いるところです。
それから、十二月はうちへ炭が配給されることになりました、二俵よ。これもやっぱりうれしゅうございます。私は正直に手持ちを書いたのですが、それでも来ました。三人で二俵でしたが、二人では一俵よ多分。いろいろの可笑しな話。世田ヶ谷の方で、ボロ家が四百円に売れて、ガスの権利は千円ですって。価格統制をきめるとき水道とガスのフーッという権利というところまで考えが及ばなかったのね。儲ける人って何と頭が敏活なのでしょう、ふき出すほどうまく思いつくのね。
この頃はいろいろな女のひとが本をかきます、本やはどこかに大迫倫子や野沢はいないかと、変なものでも出すのです。そういう著者が批評を求め、或は会いに来ます、閉口ものが少くないのは残念です。世間の波が藻を打ちあげるようです。亡くなった仁木独人の妻のようなものであったひとがやはり本をかいて出して居ります。いろんな云いまわしを知っている女のひとの喋るような文章です。或はグチとタンカの交ったようなものでもあります。十一月二十日から十日間の表。甲一、乙一、丙八。(丙は十二時前後よ)十二月も八日迄甲一(きのう)、乙一、丙五、丁一。これでは落第ね。これから当分は甲、乙づくしにいたしましょう。すっかりそしてくたびれを直します、では明日ね。
十二月十二日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
十二月十二日 第八十三信
九日づけのお手紙、冒頭の用事は一昨日ときのうとで御返事出来たわけでした。
ところで、きょうは凄いのよ、朝の仕事の第一着がこうやって手紙かいているのですから。
きのうは『文学の進路』の校正をすっかり終って、月末から肩がつまるようだったのを吻っと体も心もくつろいだところへ、どうでしょう! 好ちゃんが実に実に珍しく訪ねて来ました。実に珍しくて。あなただってホホウとお思いになるでしょう? それもいかにもあの子らしい来ぶりなの。小さい豪傑のようなのですもの。アラまあ、と私は挨拶よりさきに体じゅう熱いようになってしまいました。
相変らず生気溌溂でね。さっぱりと美しくてね。
本当に進取の気象にあふれていて。あなたはお笑いになるかもしれないけれど、私は讚歎おく能わずなのです。でもそんなに長くはいないでかえりましたが。
それできのうは思いがけず愉しき動顛をいたしました。いい心持で、何となし充実した幸福な気持になっ
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