これはゆうべ日記の欄外を見ていて発見したのですが、八年毎に週日(ウィーク・デェイ)は同じになるが、旧暦は同じではないのね。二十三日は今年は旧暦の十二月四日。三日月、四日月のわけです。床に入る前、雨戸をあけて物干のところへ出て見たら、そんなにひどく寒くもなくて、大きい奇麗な星が一杯きらめいていました。
 すこし体が弱いところがあって、しかも病気のあと新しい命が流れているところがあって、今の私は、大層面白い工合です。もっと病気が内科的にひどくて長かったら、快復期のこの感じは、おそらく激しく新鮮でしょうね。
    ――○――
 ここへ一人の女客あり。
 そのひとの話で、本年の秋ぐらいになったら、西巣鴨に一つ家があるようになるかもしれない話が出ました。大塚の終点からすぐのところの由、西巣鴨何丁目でしょう。その人の親類で、老夫人とその子息の未亡人(子供四人)が二棟に住んでいて、おばあさんが夏に子息の三回忌をすましたら田舎へひき上げると、そこの家があく。その家のおもやをなしているところに若い未亡人と子供らがいるが(銀行員だった人)ポツンとそこにいるよりは実家が渋谷にあるからその近くに住んだ
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