となった。と。そして「燃焼的形態において逆立ちしていた全科学をばここにはじめて直立せしめた」と。経済関係の基本的な点にふれて云われるが、どうもこの燃素的観念というものは、ひとごとならず笑えるところあり。文学における現実の発見とは何であるか。作家の内的構成がどんなに主観的範囲に限られて在ったかということを思います。自分の生活でだけ解決していることを、社会的に解決したように思ったり、現実の発見ということは文学を直立せしめるものであり、其故なまくらな足では立たせられぬというところでしょう。面白い。十四日の手紙で、文学の対象は(芸術家の対象と書かれています)無限に広いと云っていらっしゃる言葉。翫味百遍。この短い言葉のなかに、どれだけの鼓舞がこもっているでしょう。それから、私の二十三信にもかきましたが、ジャーナリズムとの角度のこと。私はひとりクスクス笑っているのです。だって、これも発見の一つでね。あなたという方の発見の一つの面をなすので。私は非常に単純ね。甘やかしていえば一本気とも云えるかもしれないが、そういうお鼻薬は廃止にしたから、やっぱりこういうところに、苦労知らず(ジャーナリズムとの交渉で
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