らが極めて具体的に納得されました。そのことでは多くのものを得ました。習慣でジャーナリズムを一義のように考えるといっていらしたことね、その点も複雑な現実性でわかり、これまでその限界というものは十分に見つつ、書いてゆく気持ではやっぱり一番自分にのぞましいものにとりついているところ、その辺デリケートで、あなたがいっていらした真意もどちらかというと一面的に理解していたようなところがあります。〔中略〕一つ二つならず会得したことがあって(書いて生活してゆかねばならぬものとして)生活的にも興味があります。文学の問題としてみると、際物でない作品に対する要求は自然の勢としてつよいのであるが、その要求の表現が、非現実な夢幻的な方向に向ったりしがちであることも、現実の語りかたの条件の反映として強く現れています。今に鏡花でも再登場するかもしれず。露伴までかえっているのだから。
勉強は十二日以来相当量進捗して居ります。今経済に関する初歩。三つの不可分の要素はわかります。そして、今日のトピックに沈潜するためにも、文学の展望の上にも尽きぬ源泉として活気の基になることもわかります。(十五日の雑談でも語っていますが)
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