がふっきれてゆくには時間がいるものですね。よい薬をたっぷりと体にしまして、私はあなたの数々のグッド・ウィッシェズに応え、枝ぶりよい花や、つやのよい実を生んでゆきたい。はい、これが一つ。それから、はい、これが一つ。そういう工合にね。よろこんで下さるでしょう。そして、どんなにホーラ御覧と、おっしゃるでしょう。どんなにそう云われても私のよろこびも大きいから、きわめて気よく、一緒になって、本当ねえ、と感服をおしみません。
小説は、ふかく生活にふれたものにしたくて本気です。どうかおまじないを。小さくても、私としてはこれまでと全くちがった条件(生活の)で書いているのだし、気持も或掃除後のことだから、作家の勉強のマイルストーンとしては決してどうでもよいものではない、そう思って居ります。生涯には外見上目立たなくても本質的にそういう作品があるものだと思われます。例えば、「一本の花」。あれは「伸子」からおのずと出て、然しまだ当のない成長の欲望が語られて居るように。
武麟は、純文学が生活からおくれてしまうかもしれない、と云っていて、そのことを直ぐ彼らしき文学の方向に暗示しているが、純文学を最も健全な意味
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