で出勤にもやや馴れ、気持もゆとりが出来、又沈み重ったところもあっていろいろたのしみです。体も丈夫になって、毎日出て行って、ちゃんと仕事が収穫されてゆけば、私たちの生活も、相当に勤労ゆたかである訳でしょう。私は益※[#二の字点、1−2−22]はっきり、自分の作家としての生きかたを考えて、そうやって仕事してゆくのこそ自分の条件なのだとわかって来たから、ほかの形で仕事してゆく条件など毛頭考えません。――仕事の間(そちらへ行くのやめるとか何とかの意味)お早うと云って、仕事の話もするようになれると思うと愉快です。そうしたら勲章を胸にかけてさし上げましょうね。そのように、手をゆるめず、育てたのは謂わば貴方のお手柄だと思いますから。従来の習慣、これは林町的と云うよりは文学というものの従来のありようとの関係で、私は体を動かすことと机に落付くこととの調和を見つけることが実に下手でした。文学の勤労的でない性質の反映で。その点も進歩すれば、収穫もしたがって豊かになりまさって来るわけです。文学の生活的土台もこういう風に微妙且つ具体的ですから一朝一夕ではないわけです。
片上全集と一緒に婦人の法律をお送りします
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