初めて見ました。真中に四間通りが一本通っていて、やがては住宅地になるのでしょうが、きのうは雪が落葉の上にあって独特の眺めでした。護国寺の方から市電が池袋までのびるところで、いかにも新開地らしく、古い餌差町という停留場の棒が立っていたりして居ります。こっち側と池袋の駅よりの方歩きました。自分で大体の当りをつけておかないと、ひさを見させるにも具体的でないから。明日は土曜日ですから或は又何か見当らないものでもないかもしれません。この頃は、もう裏から電車とバスで出かけて居ます。行きの時間には相当もまれる、それももう大丈夫ですから(歩ける距離に見つけるまで、)
 勉強の方は、入院前よみかけていたものプルードン批判をよみつづけて居ります。書く方は、『文芸春秋』が小説をのせるようにして見たいと云っているので、それを今ねっているところです。短篇ですが去年の秋ごろから心にとまっている題材です。お手紙に云われている創造力の源泉の問題は、私の場合ではやっぱり生活の掘り下げかた、生活への沈潜度の問題、その条件としての私の夾雑物への目のつけかたというようなものとむすびついていると思います。ここには非常に興味があ
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