キのところ、ね、あすこを店にするのですって。何だか私まではりきりました。たか子うれしそう。それに一週二三回というのは出るのが一日おき位で、これも疲れすぎず、いいでしょう。あのひとも腕に毛をはやしているから、余り神経をつかうようなのはよくないでしょう。三月まで退屈しないかと云ったら、退屈しようもないとのことです。この間うち、ゴタゴタした上ですし、それもいいかもしれません。夏までにかえろうとせいた心持でいるのでなければ、それもいいと思います。若い女の子がワサワサいるところだと、ひとに負けまいと思って気を張るから、いやなのだって。負けん気なのねえ。ここの家の雰囲気にもなれ、東京というところにも馴れ、何となし口をきくのも楽になって、それからがいいのでしょう。
それからね、こんなこと考えたのですが。今たかちゃん、フヂエがあんなことで一日 1.30 とっているのを見ているのですから、フヂエがいなくなったら月にまとめて30[#「30」は縦中横]やって、その中で自分のこと(ちょいちょいした買物など)やって、あまれば貯金するという風なの、いかがでしょう。なかなか独立的なのがすきだから、そうしてやらないと、小づかい下さいと云いにくいでしょうし、ね。それも張合があるでしょう? 遊びに出かけるのは私と一緒なのだし。きっとよかりそうに思います。私は又身内のもので稽古させてやるというのと引かえに、そういうところで不自由さすの、いやですから。もし来春、若い小さい娘でも見つけられたら又この点はちがいますが。そして、見つけたいと思うの。
まあ、こんな工合で、この暮は思いがけず人の数の多い暮しになりました。そういう意味では賑やかですから御安心下さい。それにさっき書いたように薄桃色にもなっているし。今年は、仕事の上での収穫も皆無ではありませんでしたし、えっちらおっちらの読書も第三巻終りになり、その他のことでの獲ものは或意味では未曾[#「曾」に「ママ」の注記]でした。形に出ないところでえたものは、大変に多かった年でした。そして、楽しい年と云える年だったと思いますけれど。いかが? そうお思いになりませんか? 私にはいろいろのうれしいおくりものがあった一年でした。そして、それらのおくりものは、只私への情愛とか何とかいうよりもっとひろい意味で、しかも私にとって何よりというものもありました。ねえ、それから、それはほんとにユリのもの、というものもあったわ。いろいろとありがとう。あなたが私に与えて下すった、いろいろのよろこびぐらい私もあなたにおくりものしたでしょうか。余り大きい顔も出来ないようにも思えます。さりとて、私はしわん坊だったとも思えませんけれども。四月以降は仕事も相当いたしましたしね。
来年も亦いい一年であるように。きっとそうでしょう。大笑いのこと教えてあげましょうか。新年号には(女の雑誌など)よく占いが出るでしょう。何だったか、この間みたら、私は何だか運がいいのですって。そして、特別に註が入っているの、曰ク、御主人大事にと心がければ吉。笑ってしまった。失礼よ、ね、私に今更そんなこと。私の吉運は八方ふさがりの間にだって、その一点で開運、上吉の卦にかわっていたのですものね。トンマねえと大笑いしてしまいました。
あなたのところへ小さい寄植の鉢がゆきます。どんなものが植っているかしら。福寿草だのやぶ柑子《こうじ》だのがあるでしょうね。いつかキャベジのようなと仰云った葉牡丹はやめました、あれはいいようで何か陰気だから。
あなたの右の肩を三つ、それから左の肩を三つたたいて丈夫に年越しの、おまじないしてさし上げます。どんな? いいでしょう? どうぞ御機嫌よく。元日のお雑煮は今年は、あなたのお箸が私のお箸という工合にします。私はちょっとおしゃれするの。そして、そこにいるような顔してそちらを見るのよ。忘れて、そっぽ向いたままでいらっしゃらないで下さい。あの写真についてはお言葉なし、ね、どうして? まだどっかにおかれているのでしょうか。余り自然で、却っていや? それは又その心持としてわかるところもあります。
子供たちへのおくりものは、太郎にフクチャンの羽子板。窪川の健ちゃんには大きい少年っぽい凧。達ちゃんには赤いリボン。各※[#二の字点、1−2−22]に純毛の手袋一組ずつがついています。あなたのも一組あるの。てっちゃんの子供の靴下も中野の子供のくつ下も買っておくのです。二月ごろ誕生日が来ますから。稲ちゃんは二十八日ごろかえるでしょう、おし迫って大変ね。窪川のおばあちゃんには真綿の上足袋をあげました。私は子供と年よりのサンタおばさんですから毎年。健ちゃんたち久しく行かなかったし母さん留守で淋しいところがあり、凧もって行ったらとび出して来て、タア坊はかじりつきました。私は子供の
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