二十二日)は私くたびれが出て。やっぱり日頃子供のいないくらししていると、子供はつかれるのね。おっかさんがひどく気兼ねするので、それをさせまいとしてやはり自分がつかれているのね。朝のしずかなのがいい心地で、いい心持で、二度ねをしておそくおきてしまいました。(お目玉? まさか、ねえ)それに多賀ちゃんも元気で安心したし。
それから新宿へ出て用を足して、それから慶応へ行って、眼科の部長のひとに多賀ちゃんの黒子を見せたところ、やはり狭いところで深いから切ってとると、どうしてもひきつれになるというのです、このままにしておいた方がよいという意見です、ホラね。というわけ。でも、一ヵ所でそう云われたからといって、それであきらめるのはと云われるかしら。金を儲けたい無責任のものならやらせようとするだろうが、とにかくそのことを云ってやるということにしました。
[#図14、顔の絵]こんなところなのですもの、愛くるしいのよ。あなただって、なるほどそんなところならあぶないなとお思いでしょう、瞼の皮がうすいからひきつれて、こわいこわい顔になるわ。それから銀座へ出て、野原へお送りするのり[#「のり」に傍点]。その他お義理の買いものして、もう五時というのに夜の景色になった尾張町から新橋まで夜店まで見ながら歩いて、新橋からバスで目白まで。この頃の木炭バスは小日向のあの坂ね、大きい、あれをのぼるのに這うようです。胴震いをしながら、うなりながらやっとこさでよじのぼります。
島田の方はいろいろまだあるそうです。お母さんがあなたへと十円下さいました。明日お送りします。ああそれから山口氏へは商品券にしました。炭をね、一月あるかなしですから島田へおねがいしてお金送って、送って頂きましょうと思います。家族間の自家用は許可されるそうですから。お米もどうにかなるでしょう、しかし一時に一俵以下故。
この頃はどんなひとでも顔を見ると真先に云うのは、米、木炭、マッチの話です、女のひとたちお召のゾロリとしたなりで、その話です。島田の方では近所に五十歳ぐらいの女のひとり身のひとがいて、よくお手つだいしますって。昔からよくたのんでいたひとだそうですが。ですから安心ね。それに達ちゃんいよいよ五月にはかえる予定だそうです。本当? わかるの? と私が怪しんだら、本当の由、お母さん益※[#二の字点、1−2−22]おたのしみで、私たちも
前へ
次へ
全383ページ中372ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング