かれると盛にあれをのんだらおでこや何かにそのためのホロホロが出来てね、それを疲労からだと思いちがいしたことがありました。ですから今のところ私にはこのごくありふれた薬はタブーで、ユーキリンというわけなのです。
佐藤さんたちが近いのでちょいちょいした相談に便利です。生活をよく知っているから。
坂井さんは北京です。北京には「囚われた大地」をかいて林房がトルストイのようだとか云って私がカンカンになったりした平田小六だのその他そういう人たちが何人もいて、百鬼夜行的光景を演じているらしい様子です。『百万人の哄笑』の作者はゴーゴリのつもりで見ているらしいが、ユーゴーもあやしくて、本当のところは心配でなくもないというわけです。何しろ北京は古都の飽和的空気がこわいと石介さんが南京へうつったのだそうですから。
スケッチ、あんなのでもスケッチね、シクラメンの鉢があったり青木が冬の赤い実をつけたり、いきなりとなりの羽目が出ているのや、おわかりになったでしょう。いまに物干のところ描いて貰いましょう。そして玄関のところかいたら、うちは相当立体的になるわけですが、私のスケッチの方は代筆たのむ、のくちだからどうもはかどりません。
あか子はね、今おめにかかれません。キリョウのいいところおじちゃんにおめにかかるべき筈なのですが、只今は髪の間にしっしんが出来て瞼まではれぼったくしているので。きっとお湯のとき頭を洗う、その濯《すす》ぎがうまくゆかなかったのでしょうと思います。この調子では春になりましょうね。木枯しの中つれてゆくのはすこし冒険故。
読書のこと。翻訳の仕方ということは実に関係が大きいと思います。初めの方だけ岩波の文庫本で出ていて、あれは先お話していたように何しろ漢詩をかくひとが訳したのですから、実にわかりよく精神活動の美さえつたえられていましたが。でも私はもうこれには謂わばへたりついているのですから。骨格というものは実に大切ね。そして、例えば作家として年も若く単なる生得の直感にたよってだけちゃんと仕事の出来る時代がすぎると益※[#二の字点、1−2−22]このことは考えられます。文学の豊かな肉づけのなかに埋められてしかもその肉を人体としてまとめるもの。
私はこの前の手紙で作品にふれて云っていた思意的な生活感情というもの、それを自身の文学活動の骨ぐみとして押し出して仕事します。来年の仕
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