、ね。土台の問題があるのだから。住宅のこともなかなかです。三畳に三人雑居でやり切れなくて女郎屋から工場へかよっている若い労働者がいる(『中央公論』)そうです。間代の高さより家がないのね。川崎辺のことです。目白の家は今ではやすい、いい家ということになったわけです。去年十月の家賃地代より高くは出来ないことになったからようございますが。目白の家賃はずっと同じです。只、今度の改正税率で私たちの職業、弁護士、いずれも自由職業に入って、一千円(控除ナシ)だとこれまで 2.70 の四倍だったのが年に四十六円となりました。ざっと四倍ですね。
きょう云っていらした、家にいて貰うひとの給料のこと。ひさの頃は決してわるくはなかったのです。この頃は大抵 15.00 です。新しくたのめば。しかし、それよりも困るのは人のないことです。看護婦もなかなかいない。八十八歳の大叔父さんは、ですから看護婦もなしで永い生涯を終りました。私たちの家持ちも、そういうような条件では大困難いたしますね。一人っきりだから、いて貰う人にも又おのずから条件があって、例えば今林町に十五の可愛い子がいますが、そんなのは一人で留守も出来ずね。
それでもお母さんの方は、多賀ちゃんがこの頃は落付いて来たから何よりです。野原に兄さんもかえって来たし、気分に落付いたところも出来て来たのでしょう。お母さんからはさっきお手紙です。あなたからお手紙が来た、そしたらユリのもついた、本当にうれしかったというわけです。今年はあまり雨がなくて暑すぎたので体を注意して、夏は余り外出もなさらなかった由です。浴衣がけのお写真が入って来ました。河村さんの息子が姉婿のところで修業中、それがとったのですって。すこしぼんやりしている。でも、いつか林町でおとりになったのは、よそですし、すこし気がしまっていらっしゃいますが、こっちはいかにも裏庭でのお顔です。裏庭には、今年菊が咲くとのことです。お写真お目にかけましょうか。ペラリとしたのよ、一枚の。
『文芸』につづけているものも、はじめの『中央公論』のから数えると、「人の姿」20[#「20」は縦中横]、「藪の鶯このかた」20[#「20」は縦中横]、「短い翼」25[#「25」は縦中横]、「入り乱れた羽搏き」32[#「32」は縦中横]、「分流」35[#「35」は縦中横]、となりました。一三二枚ですね。この次のが「渦潮
前へ
次へ
全383ページ中302ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング