スのですが、靖国神社の特別大祭のバスがどっさり出て、汽車は大いに混むので、やはり座席の数はきまっているのにした方がよいと思い、そちらは二十七日で仕方ないことになりました。なるたけ二人一緒に会えるようにいたします、そちらでもどうぞよろしく、朝のうち参りますから。
徳山のお花見は丁度私のゆく一日前、お母さんは河村の細君とお出かけになった由です。ショールはよくお似合だし大層お気に入りで、もう二日のばしたらお花見にかけられたと云っていらっしゃいました。ずっと降ったりやんだりの天気で、きのうもコート着て助かりました。山崎さんの伯父さまにはお目にかかる折はないでしょう。達ちゃんはあっちからいくつか写真を送ってよこしています。そちらには一つも送りませんか、何か面変りして見えます、いかつうなったと云っていらっしゃる。
きょうは隆ちゃんの宇品出発故、おひるにめばるの焼いたのを御飯と共にかげ膳になさいました。お天気がぱりっとしないでいけないこと。二時―四時に出発の由。多賀ちゃんは「タイア」を買いに櫛ヶ浜へゆきました。八十八円七十銭(一本)の由。それが二本かえた。夏迄大丈夫とのことです。なかなか品不足ですから。それに買うための証明書のようなものの扱いかたも一々警察(経済検察官)を経、それがこういう田舎では駐在ですからね。出征家族であるためガソリンもタイアも優先で、何不自由ありません。
私の早寝早おきは大丈夫で、午前二時半までくり上りました。(広島へ出かける日。そしたらね、汽車の時刻を午前と午後とお間違えになったので、三時三十分とかのつもりで駅へ出たら、灯をつけた夜汽車が入って来て改札のところでびっくりまなこを見はっているうち出てしまって、おじゃん。三時十三分だったのです、午前[#「午前」に傍点]ならば。大笑いしてしまった。以来六時五十五分と決定)
今日まで本は全くよめませんでした。これから二十四日迄すこしつめてよみます。かえると今度は半月は多忙ですから。おひさ[#「ひさ」に傍点]さんはおかみさんになるのにこまごまとしたお客様の料理を知らないでとこぼしていたから(うちのは常に美味でも書生流故)こんどは一つお母様のために私も腕をふるい、おひさ君の花嫁学校にも役立てましょう。おひささんはバカね、もうそろりそろりと私に当てます。私を見習ったというのでしょうか、良人についてはいつも自分の心
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