黶B入れば何でもする、そういう気分でやられて来ているから初めて定収があって、それをきっちりつかってやってゆくことを学ばなければ、結局又「あるだけみたしてハヤないようになった」ということになりますからね。お嫁さんが来たら叔母さまにはどういうようにして上げた方が一家が円満にゆくかという具体案も話してきました。そしたら叔母さまがよろこんでね、こんなにいろいろ心つけて貰ってどうして恩をかえそうやら、いまに富雄が儲けたら、一つうんとお礼をすると仰云ったので、そら又儲けたら、が出たと又本当にすこし気持をわるくして申しました。その癖は根本から改める必要があると。何を富雄さんが儲け[#「儲け」に傍点]られましょう。ねえ。儲けられないのがあたり前です。稼ぐ、そして生活してゆく。それと儲けるとはちがう、全く。富ちゃんだっていやな顔をした。この儲けるというのは、どうも島田も野原も一つの癖で、よくない。儲けにゃ、儲けて貰わにゃ。深い考えもないが何ぞというとこれが出る。そして、やはり出るのは出るだけのことがあるというわけですね、現実に。
 十八日は、いつぞや私左の脚がつれてびっこ引いていましたろう? 又あのようになってしまって歩けず一日野原の家にいました。十六日に広島で非常に歩いたもので。
 十九日の午後一時半のバスでかえりました。その朝お墓参りいたし、あのあたりを感じふかく眺め、お辞儀いたしました。菫の花が草の間に美しく咲いているし、れんげの花も一杯咲いている。やがて壁の内に入ってしまうところです。
 かえって来たら、こちらのうちに、おはぎができている。多賀神社の祭祝の由。それを御馳走になり、一番奥の、田を見渡す部屋の円食卓のところで帳簿をひっくりかえし(多賀子)そろばんをはじき(母上)私ペンを握って大仕事がはじまり。周南町になったので、特別税(所得)の申告があるのです。いろいろ商売のことがわかり、例えばタバコは〇・九の利率とか、塩は一カマス平均20[#「20」は縦中横]銭、肥料5/100以下の利益とか、なかなかためになりました。トラックの方のこともやっと分りました。金は大きく運転するが、又維持にもなかなかかかるものですね。それらをすっかり書きこみ、控えをとり、それから肥料配給申告書をつくり、これもなかなか面白く思いました。八月から配給実施で申告しないものはオミットになります。第二期という
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