土地の名がかわるようにあちらの生活、一年見ないうちに随分変化したことでしょう。野原の土地は坪二十五円以上となり、皆済《かいさい》して、主家と土地五十坪のこったそうです。御安心でしょう。富ちゃん先《せん》の手紙で、嫁をとってもやって行けると強調していたが、どうかしら。
寿夫[自注12]さん、本を売っ払って行くというから、私欲しい本だけゆずりうけます。只でよこして貰ってもわるいから。
スノウの細君[自注13]が西北地方旅行会見記をかいて居ります。スノウ夫人とは云わず、別な名(旧姓)でやっているらしい。訳もむずかしかったでしょう(『改造』四月)。スメドレイの従軍記と全くちがって、事務的に(マタ・オヴ・ファクト的に)数字や人名など表記して居ります。〔中略〕チュテーのおくさん、えらい女武者であるそうですが、女の問題に答えて私は彼女たちの仲間でありませんと云っているところ。知りませんと。なかなか面白い、いろいろの要素がわかって。複雑な波ですね。
一平さん[自注14]、かの子の追悼をあちこちにかき、様々に思わせます。新婚の頃、友人をひっぱって来て二日二晩のみあかして、となりの室にいるかの子に食うものがあるかないか考えても見ず、のまずくわずで彼女はサービスしていたと。そういうところから彼の発明の童女性が生れ、それが、ああいう形に発展したこと。妻に死なれ、悲しんで炬燵にねていたら弟子が先生は職人のような顔をしてねていたと云い、かの女いないと忽ちこう成り下る自分云々。美しさより、溺情より、何だか病的なものがあって。
さて、又例の表、きょう三十日できょうの分は完成しないわけですがそれだけ別にも及ばないから。
起床 消燈 頁
二十一日 八・〇〇 一一・〇〇 一五
二十二日 八・〇〇 一〇・三〇 三〇
二十三日 六・二〇 一〇・四〇 二〇
二十四日 六・三〇 九・三〇 一五
二十五日 六・四〇 一〇・三〇 四八
二十六日(日)七・三〇 九・四〇 七一
二十七日 六・四〇 九・二〇 三〇
二十八日 六・三〇 九・三〇 三一
二十九日 七・三〇 一〇・三〇 三〇
三十日 七・〇〇
ここで一つ面白半分、吝嗇漢となって三月分の頁をかぞえあげます(まだきょうとあしたがのこっているが 668 頁。きょうのを入れて 700 と
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