、皆工合がはっきりしません。一年のうち、この頃から八重桜のぼってりと咲く時分私は一番苦しい時です。食慾も一体に低下します。どうか呉々お大事に。
私の薬のききめは、精神状態まで更新させるようです、きっと本当にそういうききめもあるわけですね。そちらにそれ位きく薬がおありになるでしょうか。いくらか利くのはあるでしょう、けれども。薬のききめが高まればよいと思います、綜合的なものだから。
きのうは、お話していたように島田へ手紙かきました。甘いものは、お母さん、中村やの支那まんじゅうをお思いなのでしょうと考えついたので、お送りします。あれは大気に入りですから。達ちゃんへは、先のとき第二回のとき『抗日支那の解剖』を送りました。この間私が云っていたのは尾崎秀実の『今日の支那批判』というような本です。インフレーション問題だけ何冊かシリーズにしたのが出かけています、興味があるが達ちゃんはどうでしょう、一度お見になりませんか。隆ちゃんに会いたいことも、島田へかきました。寿江子はノミの工合は不明ですが、子供たちを相手に暮している様です、あちらにいると夜九時に眠ります。東京へかえって来ると眠れなくなる由、寝ないのではなくて。それを、私でさえ寝ないと云って怒ると、この間は悄気て居りました。
ポチがね、さきほど死にました。目白の駅のプラットフォームから犬猫病院の札が出ているの、覚えていらっしゃるでしょうか。一昨日の午後そこへつれて行って入院させて、きのうも見にゆきましたが。よほどひどい毒物をたべたのだそうです。ワンワも可哀そうに。捨てられて、やっとうちで飼われて、毎朝私が出るとき走ってお伴して来ていたのに。何を一体たべたのでしょう。アンポンだもので命をおとしてしまった。ワンワの入院料は一日一円五十銭也。獣医さんというのは動物が好きでなるのでしょうね。
十二月の二十三日の朝、ポチがおなかを空かせて私の手をかむ。御飯がちっともなかったので、台所に跼んでいて御飯たいてたべさせてやったりした(盲腸になった朝)。犬も可愛いものです。
もう近々届くでしょうが、セッカーの目録の中にアレクセーイェフの「罠かけのデルス」という本の広告があります。それと同じのに「ケンヤ山を仰ぎつつ」というのもある。「罠かけデルス」は訳してもいい本と思い、それならほかの読みようはないでしょうし、注文します。いつか書いたゴー
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