ういうのが一番実現に近く能率的でもあるでしょう。ものを書くには、直接よまず、動かずこねる時間という時間もスケジュールの中には大切にとられねばならず。今のところは、一寸書いたように、十一時ごろまでにかえり、早ひるをたべて、書くものがあるときは一寸休んでから書きはじめるという方法をとっていました。用事で出かけるときは、なるたけそちらからのかえりに方向をまとめておいて廻ること。そのようにしています。日曜はうちにいたい心持です。動坂で私が散歩したいと云いあなたはうちにいようと仰云ったああいう些細なことも、今わかるようなものです。余り自由学園式割当て生活で、それを守るための生活みたいなのは愚の骨頂だし。
そちらに往復の乗物では(大体のりものではよまず。どうも揺れながら子供のうちからものをよんで乱視になったらしいから)読まず。そちらで三四十分(最小限待つ)その間によみたい小説類をよむことにして居ります。かえってから午後の時間四五時間本気の読みもの。夜はこね時間。それが場合によって夜と昼と入れちがうこともあるわけです。それに私には手紙をかくために三四時間いる。きょうなんかでも。その位かかります。案外と思うようにかかります。こして見ると、栄さんと喋る時間、戸塚へ一寸よる時間がないようでしょう? 実際としてはそれがいりますし。勿論それは月に二三度ですが、この頃では。そして、なるたけ昼間にしてしまいました。夜だとついのびてしまうから。勉強の時間がそれでも削られる場合が生じるでしょうね。すこしずつしか読書が捗らないと叱られそうで気がひけます。なるたけうまくやって見ますが。私の速力をずっとおとしてよむから。おちざるを得ない相手でもあり。表のむらや何か、又どうぞ辛棒して見て下さい。むらがあっても絶えずというところからはじめたいと思いますから。本月一杯は読書を中心にして、来月は他に仕事が迫らなかったら、例の伝記をつづけてかきはじめ、それに必要な哲学の本を並行によんでゆくようにしたいと思います。五月にかかるでしょう終るには。六月の島田はどのようになるか未定ですが、あなたのお考えとそのときの事情でもしすこし永くいるようでしたら一つ訳したい小説があります、ゴールスワージの。女の生活を彼らしい正義感で扱ったものですが。それを集注的にやろうかと考え中です。どうかして読む方と書く方ぶつからずくみ合わせた
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