、明日ぐらい。
ああ寿江子がかえって来た、鼻の先を赤くして。鬼子母神のあたりや先を歩いて見たそうですが、大きい化ものやしきのようなのが一つ売又貸と木札を出していた由。
さてお約束の表、十日より二十日までの分。
起床 消燈
十 日 七・二〇 一〇・五〇
十一日 七・四〇 一一・〇〇
十二日 八・〇〇 一〇・四〇
十三日 七・二〇 一時半(ホーラ、目玉がギロリ、でしょう? これは何しろジュータンでしたから)
十四日 九・三〇 九・四〇
十五日 七・四〇 一〇・一〇
十六日 七・三〇 一〇・三〇
十七日 七・一五 一〇・〇〇
十八日 七・〇〇 一一・四〇
十九日 八・〇〇 九・四〇
二十日 七・一〇 九・三〇
仕事や読書の表はこれから。この間によんだもの、例のプルードン批判。小説ではデュ・ガールの『チボー家の人々』二冊。そしてこのブックレビューを三枚。ジイドの「贋金つくり」と並べているが、その質のちがいについて。映画について(『三田新聞』七枚)、『婦公』「最初の問い」一枚。そして小説についてこね中。
ほんとうに冷えること。おなかにこたえないでしょうか、シャツがあってよかったと思います。
きのう栄さんのところで、アメリカの通俗的な『ライフ』というグラフを見てアメリカ、スウィス、ロシアの雪だるま、と云っても巨大な芸術的なものの写真を見て実に面白うございました。アルプス附近は線が変に澄んで居り、ロシアの人形はいかにも雪国の重厚さ。アメリカのはイヴと蛇というような、あたじけないのでした。ではお風邪をお大切に。
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[自注3]おっかさん――小林多喜二の母。
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二月二十三日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
二月二十三日 第十八信
二十一日づけのお手紙をありがとう。蜜入りの特製牛乳の御褒美呉々もありがとう。あの製法にもなかなかなみなみならぬこつがあるわけですから、それを御馳走してやろうと思って下さったのはうれしいと思います。
表のむらなことは、おっしゃる通りですが、この頃又すこし進歩してね、表をつけなければならないのにムラだという結果からの小乗的注意からぬけ出て、一日を一杯に内容的に暮そうとすると、どうしても早ねも早おきもせざるを得ないことが、会得されて来ました。其故今後は従来よりも本質
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