記の一番終りをあけて見る。1938 年の十二月三十一日は土曜日です。本年の元旦は土曜日であった。すると来年の元旦は日曜日で来年の一月二十三日は月曜日ということになる。ハハ。これはよろしい。では二十三日に出かけられる。ここで一日ずつあとへくって見ると、六年前のきょうは月曜日だったことが思い出されます。そして来年は七年目で又月曜日。つまらない、しかし私には一寸面白い算術。

 一月二十五日の午後。
 きょうも又晴れている。非常におだやかな天気。おとといのバラは八分開いて微かによい匂いを放っている。本を送る包みを二ヶこしらえて上へあがってこの手紙をつづけます。きのうは体の工合のよさそうなお顔付を見て本当にうれしくいい心持でした。便通は腹の調子を告げるばかりでなく全身の工合を語るから、それが苦情すくなければ何よりです。
 きのうは割合いろいろ聞いて頂けて、さっぱりした安心した気持です。あれから真直家へかえって、すっかりおなかをすかして、おそばをたべて一休みしに二階へあがろうとしたら、ひとが来て五時すぎてしまった。そのうち、ひさ[#「ひさ」に傍点]、戸塚へゆく時間で出かけいよいよ二階へ上ったら到
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