頃まで内務省検閲課の干渉によって中野重治・百合子の作品発表が禁止された。
[自注2]店の方が形つくと――窪川夫妻がコーヒーの店を出そうとしていて、百合子もその仲間に入っているつもりでいた。
[#ここで字下げ終わり]
一月十二日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(中村研一筆「朝」の絵はがき)〕
一月十二日、岩波の『六法全書』本年(昭一二)版は皆うり切れてしまい、新しい法規を入れたのはもう二三ヵ月後に出ますそうです。どうせ新しいのならその方がよいと思いお待ち願います。『二葉亭四迷全集』の一二は、創作です。待っているのは五六七八になりましょう。これもまだすこし間がある。一筆そのおしらせを。
一応うまいのは分るが、という絵が何と多いのでしょうね。うまさに於てこれも場中に光っていた方の部です。
一月二十二日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(山と水辺と村の風景の絵はがき)〕
一月二十二日、あしたは日曜日でこの天気では雪になるでしょうか、雪は可愛いから降ってもいいことね。月のない代りに雪の夜にでもなったら、又異った眺めでうれしいと思います。あしたは防空演習だけれども午後は神田へ行
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