キるしかないと思っていた由。白《しら》をきったのは、どの顔でそんなことを認める面皮があろうという心持だった由。迚も日の目に当てられるものではないと思っていたとのこと。今日では、そういう考えかたすべてが、自身の感情のビラビラに甘えていたことであるのを感じて居る由。妻である人が、困難と苦痛とを知りながら再び生活を戻したのも、只、そういう性格なのだからと認めるい[#「るい」に「ママ」の注記]うのではなくて、そんな性格だから、一人にして自傷的気分の中でいい気にさせておいたら益※[#二の字点、1−2−22]仕様のないものになってしまう、そんなところから追い立てて健康な路へ歩み出させようという努力に根底がおかれていることがわかりました。
母親は、こういう子だからと見限ってしまわず、愈※[#二の字点、1−2−22]こういう子なのだからと愛情の故に砕身する。それに似ているところがあります。而も夫婦であるということは、永い年月の間に同化している点も生じているのだから、その努力の尽大・多面なことと云ったら。深い危険が横わっていることと云ったら。
仕方がないという低いところで元に戻られたのでは、健全な友
前へ
次へ
全473ページ中304ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング