ェ、逆に町の若い女のひとの心に生じているそういうもの、は見落されています。なかなか多くのものがふくまれている心持です。食うことの安定感のためには、相当の因習にも堪えるというところ。因習に堪えないから、自活すると云って町へ出た時代と比べ、若い女の賢さの質が推移している。しかし、何しろ一粒の米も出来ない土地だからと、どこでも天候の工合で白穂の多い本年の米作について話していました。果樹の前は稗《ひえ》と綿だけのつくれた焼原であった由。毎年水を買う、金を出して、河の堰を何日間か買って部落への灌漑にする由。その村は一種の模範村らしいが、これは若い時代の男が大多数中等以上の教育をうけて、果樹にしろ蚕にしろ研究的にやっているからであるが、三十五ぐらいで未婚のあんちゃんが少くないとのことです。分家させられないから。そして、良人として妻に希望する文化上の要求と労働の求める体力、性質との一致したような女のひとが少いから。
町に新しく出来たデパートでは日給三十銭。女学校卒。銘仙の着物を着て通勤せよ。それで娘さんが押しかけている由です。
大都市に近くて、激動を蒙る村や町の生活のうつり変りの激しさ。コロンビ
前へ
次へ
全473ページ中292ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング