チている筈です。間違いとは、非計画的なものではないでしょうか。計画にしたがって設計された二重の生活を、間違いと云え得ないと思う。それは計画でしょう。我々の友情の内容の深さ、期待や信頼の歴史的な意味というものがわかっていて、自分の存在の意味が分っていて而も出来ることだとは思えない。夫婦とは何でしょう。
 抽象的にばかり書いてすみませんが、私の今の心の苦しさは、これだけでも書かずにいられない。辛抱して下さい。芝居のタンカではないが、どっち見てもケチな野郎でござんす風な光景の中で、真心から支持して、生活も仕事も成長するように愛する友のためにも堂々たる良人であるように、誇るに足る友であるようにと切望して来ていた友人を、その本質に於て失った心持は、失いかたが複雑で、主観的でなくて、苦しい。私が留守であった夏、自分から命を断とうと迄苦しい目をしたひとが、再びこれを知ったら、どうのりこえられるだろう。その確信が私につかない。戦慄《せんりつ》を覚えます。私がこのように苦しいのだって、その人及びその時代の善意の大抹殺だからです。これまで、ああいう思いをして何のために生きて来た、ああ考え、ああ云い、今も白
前へ 次へ
全473ページ中264ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング