ト、かえりました。
 ダビについての感想は「くれない」の作者としての感想として特に面白かった、というのは、私はこの愛する作品については、いろいろの感想があるのです。作品が十分の構成をもっていないということ、構成のないということは、この作者のどの作にも或共通したところであるが、事件、心理のいきさつを、よって来っている現実としてつかんで整理しきらず、はじから現象に即したように描いてゆくため、構成がなくなり、語りつくされない部分が出て来る、そんな気がつよくしていたので、ダビの「北ホテル」の感想は二重に心をあつめてききました。買っておよみ下さい。婦人の作家が、その生涯のうちに、皆が、いくつか、どんな形でか、この作品のようなものを書かなければならず、書いているということ。そういう点からもこの作品は或本質的な意義、価値をもっているもの故、もっと十分書きつくせない事情のあるのが、惜しゅうございます。
 俊子さんの昔の作や「伸子」や「小鬼の歌」の夫婦の生活や「乳房」やそして「くれない」や同じ作者の「わかれ」という短篇などと合わせよみ、考えると、女の生活をうち貫いて流れている歴史の波濤の高さが胸にひびく
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