ャさい作品であり、云々するほどでないと云えるかもしれないけれども、作者も昔からの友人たちも、特別な心でこの作は見ました。△氏という△大の△△さん門下の哲学の人が、あのひとの作品をよんで、何とかしてこのひとを助けて立派な作家にしてやりたいと思って結婚を申し込んだ。私などが外国にいたとき。
A・Kさんは、自分から進んで結婚の対手をさがし出す人でもないし、間違ってでも掴《つか》んでゆく、そういうたちでもないので、この申出を考えて結婚した。
七八年結婚生活をしたわけですが、その△さんというひとは、(ここまで書いていると、玄関が勢いよくガラリとあいて、その音に合わしてはあとがしずか。あらあら健造さんがお使いに来ました。あした智恵子さんのお見舞に誘った返事をもって。丁度又空襲ケイホーの間なので、健ちゃんと物ほしにのってすこし飛行機を見て、本棚のところへ来たらそこの岩波文庫のうらの目次をくっている。「なんなの?」「南総里見八犬伝買ったんだよ」「ふーん」と私はびっくりして「わかる?」「わからないとこ母ちゃんにきく……でも余りわかんないから新八犬伝を買うんだ」そして下へ来て豆たべながら「あれ書いたひ
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