ワした。こんど見せて上げましょうね。
「傑作」云々のこと。あの作はあの作として傑作だがという程度で稲ちゃんが云ったことです。おべっかとしてだけ云う人もあった時期だからと思いついて一言。褒められるという恥辱が存在することは判って居ります。
この手紙は、決してあなたの心に、一応わかったがね、という味はのこさぬものと信じます。われわれの生活の深いよろこびと感謝とをもって。
九月十一日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
九月十一日(日) 第四十八信
きのう、目白で省線を下り、駅前の市場の中にある郵便局で早速中村善男[自注9]という名を電話帳で調べたが出ていない。恵風園という方でしらべたがやっぱり出ていない。では仕方がない、月曜慶応に行こう。そう思ってうちへかえって来ました。中野さんが来ると云っていたから、来ていまいかと急いだのだったが、来ない。茶の間でパンをたべ茶をのんで休んでいたが(二階のベッドで)段々じっとしていられない心持になった。自分がそんなに病気なのかしら――。どうも納得されない。一年でも二年でも会わず養生しなければならない。そんなことなんてあるもんか! そんな病
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