平年よりずっと冷える由。工合はいかがですか。冷えをお腹に引込まないようにくれぐれ願います。
 きのうは夕方御飯のとき(この頃は大てい七時すぎ。日が長いので)お母さんが大助さんの生れた家[自注6]へ炭を届けさせるついでに、螢の工合をきかせ、どっさり出るという報告で、私を螢狩りにつれていって下さいました。八時に内藤のタクシーを呼んで、お母さん、多賀子、私、河村さんの細君と総領息子と金物やの娘がのり、助手台へうちの倫公が、すすはきに使いそうな笹っ葉をくくりつけた竹をもってのった。そして、うちのすぐそばのふみ切りからもう一つ大きいのを越して、その次の一寸したのを越して四ツ目のすこし手前、桜がずっと生えている手前の辺の橋のところへ降りました。その黒川さんという家が一軒ぽつんと樹かげにみえ、あの辺は大変陰気です。汽車が暗い山と山との間に火の粉を散らし、おそろしい音を立てて、いかにも「火車的」に通るのも恐ろしい。その次の踏切でつい二日ばかり前人がひかれたりしてなお更。
 この辺の夜の景色など覚えていらっしゃるかしら。螢は二十日ばかりおくれているそうで、大してもいなかったが、私ははじめてあんな冴えた大
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