ェ書いた従軍記『スペインのノートブック』Red Spainish Note book、『新しきスペインへ向って』Towards the new Spain その他。
この本は、予測(国際関係における)をも語っているが、どうかしら。つまりどの位しっかりしているか、それは疑問です。フランス語のものはこの頃科学関係は来るが、文学も社会事情も、新しいものはないらしい。ましてオースタリーの以後のものなどは来ていません。(これは店員にくっついて歩いて調べて貰った)。ロシア語では工業の本が十冊ほど。あとは古い古い駄小説とデミヤン・ベードヌイがまだ批判されずにいた時分の詩集とが、棚の下の方にくっついていました。英語で『五つの現代劇』というのが訳されていたが、それも何と古いのでしょう! 十年ほど昔の、しかも或種のものが訳されている。『トゥルビーン家の日々』だの『インガ』だの『パン』だの。もっともっと新しい、健全な、生活を反映したものが出ているのにね。そう云えば、イギリスの期待し得る評論家であったフォックスは三十六七歳だったそうですが、スペインで戦死したのですね。この人や他の二三の人の著作、文学活動が、『タイムス』の文芸フロクの社説で新しき文芸批評の社会的必然を認めさせたのであったのに。戦死したのは去年のことであったそうです。
ドイツの本は昨日はききませんでした。今度いつかそのドイツ語の女の人に相談して見ましょう。本の数々山ほどあれど、ですね。そして、私はこうなると(つまりいく種類の本をも見る必要があると)フランス語とドイツ語がめくらでは閉口。フランス語のはすこしは察しがつくが。ところが語学は仰云るとおり、内容がひっぱってくれなければやり難くて。
丸善から二ヵ所ばかり用事を足して林町へ行って記録を見て来ました。
今日の社会の発展段階にあって、階級が生じている事実は何人の常識にも自明である。現実がそうである以上文学も階級性の上に立たざるを得ない。文学は常に人間のより人間らしい願望を反映するものであるから、今日ではリアリズムがそこまで来ている。そういう意味でのリアリスティックな作家、現実のありようを芸術の中に生かす作家、人類の進歩と幸福とに役立つ作家として活動したい。そう云っている。
根本的に、私はこの間うちからとりあげられている要点(云われた通りを真《ま》にうけたりしたこと。)そのことにあらわれている受動性や曖昧さは十分認めて居ります。その点私は誤っていたし、真の自律性をもたなかった。
生活の庇云々ということは、以上の点との心理的関係で見ると、自分というものをあなたと切りはなした感じで張り出しがついて行ったのではない。そういう点で自分があるべきだけ自主的でなかったことには十分自省が及ばず、それなり、主観の上では一生懸命に、自分の義務と思う成長や仕事で押し出して行っていたので、いつしかそこに相対的な関係での庇が出来て(おじぎされるもので、こちらからもおじぎを返すというような関係での。一例として)、いつしかごみもたまったようなところがあり、そのことを云っていたのだと思います。けれども考えて見れば、あの庇云々のことを書いたのは八月下旬で、当時、私は今ほどはっきりと、或点で自分が見落しているもののあったことを、自覚してはいなかったようです。今私にはそれがはっきりわかった。した[#「した」に傍点]とか、なった[#「なった」に傍点]とかいうことの確然たる内容の相異について、初めに書いた、ああいうことにしろ、やっぱり関係があるのです。
私はこのごろいろんなことから、深く感じるのだが、例えばああいう場合、自分の心の中に、もし自分の愛を疑ったりするようなすき間があったり、そして又私に対して抱かれている愛情について不安をもっていたりしたら、きっともっと警戒的で(自身に対して)あったろうと思います。自分の傾けつくしている情、そそがれている心、それらに一点不安をもたず、その裡にこもってしまうようなところがあって、却って受動的な(客観的には)ことになったと思う。そんなこと位で自分たちがどうなるものか。そういうところ。キュリー夫人の科学は云々というのとどっか似ていたと思います。私は決して人生に受け身なたちではない。そのことは確信をもっています。しかしながら、最も積極的な我々の生活に必要なだけの自律性は鍛練され切っていないのだということは認めざるを得ないわけです。遠い航海には、近海航路とちがうつくりの船が入用なのだから。
これまでのところ、つき離して自分を見れば、むら[#「むら」に傍点]が多いこと。いいところ、よくないところ、はっきりしているところ、曖昧なところ。自然発生的なごたついている。(いたと書きたいところです、お察し下さい。でも当分は遠慮します)こっちか
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