ナす。あらゆる分野において、人類の誇りとなった人々は常にその生きかたに後者の要素をもっている。しかも、やはり鉄の出です。混ぜかた、火のいれかたなどが違う。鉄はひとがまぜて火を入れるのだが、人間には自分でそれが出来る。ここに云いつくせぬ味があると思う。
きょう三越からハガキで、この間注文しておいた『私はヒトラーを知った』I knew Hitler が来た知らせをよこしました。あしたあたり届けて来る。そしたらお送りいたします。
書きぬき出来ましたが、スペインは少いこと。支那関係が四十六位のうちあの便覧に出ている著者は十人位。なかでは『支那革命の精神』の著者がよさそうです。(パイパア)ホルクームと読むのだそうです。
明日から二十七日一杯防空演習です。空からいろんなものが降るのですって。きょうは、丁度家にいたので四時に計ったら六度三分です。却って低い位。栄さん、来月の二日ごろ又お目にかかりに行きますって。今もう九時すぎ。これから風呂に入り、床に入ります。では又。風邪をお引きにならないように。
十一月二十八日夕 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
十一月二十八日 第七十五信
二十五日づけのお手紙をありがとう。
先ず早寝のこと。それでも八点下すってありがとう。九時に切りあげることは着手しはじめました。おそくなる[#「なる」に傍点]のではなくて、する[#「する」に傍点]のだということ、これは本当だし、笑ってしまった。こういうことからもいろいろフエンして会得することがあります。した[#「した」に傍点]こととなった[#「なった」に傍点]こととの分別が明瞭を欠くところが大いにあるのですね、私の生活に。すべく意志して、した[#「した」に傍点]こと。それから、しまい[#「しまい」に傍点]と思ったがした[#「した」に傍点]こと。後の方をとかくひっくるめてなった[#「なった」に傍点]とする。貴方にはその区分が明瞭だから、した[#「した」に傍点]ことを「なった、なった」と云っていて、それは、理由づけにならぬ理由づけで、いかにも非理性的に見える。おかげさまで私にも追々はっきりして来ました。だから、なかなか早寝早おきも意味がある。ただつや[#「つや」に傍点]がましになる以上に。物事に対する態度が学ばれるから。だから、これからはこうきめます。早く寝ようと思うときには十時を励行
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