[五時半六・六(夕飯六時)
 食事 七・四〇     十二時     夜八時半六・三
 朝は七時から七時十五分すぎまでの間に床から出ます。それから身じまいして、計温して、食事して、仕度して、家を出るのは八時十五分過までのうちです。原っぱを通って、受付へ行って、多勢待っていなければいつも大抵九時十五分前ごろ、待合にかけます。これはおきまりの時間表で、ずるとしても五分から十分の間です。土曜月曜はこの刻限から二時間前後待って本を読んでいるわけ。この次の月曜は一奮発してすこし早くして見ましょう。この切手お気がつきましたか? 民間機をつくるためだそうで、国男のくれたのを見本に。おかぜを呉々大事に願います

 九月二十五日夜 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

 九月二十五日  第五十六信
 きょうは可笑しい借家人物語を二つ。
 きのうひるから殆ど二ヵ月ぶりで栄さんのところに向って出かけました。七月中旬ごろからマアちゃんが工合わるくしているし、繁さん勤めはじめたし、細君はいそがしかったし、病人のベッドのわきで喋るのもいやであったから、お互に。
 マアちゃんよくなった。それに、私は、ああ二日つづきの休み日なんて大したことない、実に大したことない。こういう休日が愉しく充実するために私にはどうしたって必要な顔と声と笑いとがあるのに! とふくれていて、思い立って栄さんのうちに向って出発した。
 小滝橋へ出るまで、下落合駅のところを道普請していて、すこし広い道が東中野から聖母病院の坂まで貫通しかけています。工事のはじまったのはもう古い。事変で久しく放ぽり出されてセメント樽がコロがっていた。再び着手して、もうすこしで完成。新道へ出るところ(旧道から)「ひどくゆれますから御注意下さい」と婦人車掌が呼んで、赤坊おぶっている女の人に「お子さんのおつむり御注意下さい」それ程。うっかり舌でも出したらかみ切ってしまいそう。小滝通りでおりて、坂をあがって行く。トタンやの店に張紙あり。
「風水害で破損した箇所修繕のためブリキトタン御入用の方は、もより交番より許可証お貰いの上おいで下さい」云々。秋の日にそういう字が照っている。もすこし行ったら「十月一日より商店法実施、皆サンお買物は十時まで! 演習十九日、二十六日」と立看板が立っている。
 青年学校義務制(十四年から)のための青年調査の注意がケイ示さ
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