ニをもつたえ実際的の話を伺いたいと思ったが、簡単におっしゃり、楽観的におっしゃるぎりで、それ以上つっこめませんでした。こっちのお母さんのお話で、講以外に負債がおありになり、あの土地を処分するしかないことは分って居りましたが。
野原は今の交通関係では昔とちがって全くの閑地ですね。あすこは隠居地です。
お葬式は御承知のとおりこっちの真宗(西本願寺なむあみだぶつ)の式で万事やられました。様々の習慣がちがうから、私はお母さんのあとについて、白いカツギをかぶって、白と緑の造花をもってお墓へおともしました。達ちゃんと富ちゃんが組んでいろいろのことをしました。隆ちゃんが真先に道あけあんどうというものをもち、母上、私、女の子たち、僧侶、富ちゃん、お棺、達ちゃん、それから伴の人という行列で、豌豆《えんどう》が花咲き、夏みかんがみのり、れんげの花の咲いている暑いような陽の道をお墓へとねってゆきました。そこで式があり御焼香があり、それから火葬場へおゆきになり、私たちはかえったわけでした。
又うちで読経、焼香、御膳がでて、親族のものだけお寺二つへまいりました。町の中のと、山の高いところのと。その山のお寺
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