手数はよく分るので一層うれしゅうございます。
二月十七日に六信をかき、二十日すぎに七信をかきました。もうそろそろ二つとも届く頃でしょう。
このお手紙に書かれているすべてのことは皆よくわかりました。或はもう分っていたこと(お目にかかって)もあり。(差入島田の要点等)
いまうちには信州の方の知人へ稲ちゃんが世話をたのんで呉れ、よい人が見つかりそうですから御安心下さい。ヤスのような人物だったらどんなにいいでしょう、あの半分位でも。
いずれにせよ、私は私たちの生活全面を非常に愛しているのです。そして辛いなどと、きりはなして考え、又感じたことは殆ど一度もない、これこそ、私は私たちの無上の幸福だと思って居ります。私が身に引き添えて思うことは、私たちの文学の上にでも、しなければならないことに比べて、生活術が未熟だったり、人間としての鍛練が足りなかったりすることを自覚したとき、ああもっともっと豊富になりたい、とそれさえも私の場合では希望の光の裡で欲求されるのです。私は御承知の通り滅入らないたちの女です。私の方にあらわれる生活上のいろいろのこと=次善的な方法で家をもたなければならぬこと=それさえ
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