手数はよく分るので一層うれしゅうございます。
 二月十七日に六信をかき、二十日すぎに七信をかきました。もうそろそろ二つとも届く頃でしょう。
 このお手紙に書かれているすべてのことは皆よくわかりました。或はもう分っていたこと(お目にかかって)もあり。(差入島田の要点等)
 いまうちには信州の方の知人へ稲ちゃんが世話をたのんで呉れ、よい人が見つかりそうですから御安心下さい。ヤスのような人物だったらどんなにいいでしょう、あの半分位でも。
 いずれにせよ、私は私たちの生活全面を非常に愛しているのです。そして辛いなどと、きりはなして考え、又感じたことは殆ど一度もない、これこそ、私は私たちの無上の幸福だと思って居ります。私が身に引き添えて思うことは、私たちの文学の上にでも、しなければならないことに比べて、生活術が未熟だったり、人間としての鍛練が足りなかったりすることを自覚したとき、ああもっともっと豊富になりたい、とそれさえも私の場合では希望の光の裡で欲求されるのです。私は御承知の通り滅入らないたちの女です。私の方にあらわれる生活上のいろいろのこと=次善的な方法で家をもたなければならぬこと=それさえ
前へ 次へ
全235ページ中43ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング