し)きのう手紙を書いて一月六日づけの手紙を眺めて、いつ次のが来るのかしらと思ってそのことを書いた、それをやめて、これに改めました。家の生活のやりかたについて二重に考えて下すって、本当にありがとう。
 私の手紙ですこし様子はお分りになったでしょう。自分でいやに腹を立てているところがあったので、あなたもいやと仰云った点、全身的に感じたのでした。でも、又次の手紙に書いた通りだし、今夜栄さんの話で、或はXに職業が見つかるし、そしたら私はずっとよくなるでしょう。生活の感情の微妙さ。目前の便利でまぎらすことの出来ない人間間の心持というものは何と活々と力のつよいものでしょう。それが逆に作用した場合には、目前の障害を踰《こ》ゆる人間感情の結合と隔全[#「全」に「ママ」の注記]とがなり立つのであるから、面白い。
 私は一つ家に住むものがどんな対人関係をもっても、どんな生き方をしてもよいという風には思えず、蕊《ずい》まで見えるし触れてゆくので、Xなど今まで心づきもせず、思いもしなかった自分を発見している有様です。
 ともかく、私はただしょげ[#「しょげ」に傍点]もしないし、御安心下さい。おくりものの第一、
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