ト工合のわるいときを押してまで書いて下さらないでもよい――(然し、出来るだけ手紙は書こうと云っていらっしゃることの上に立って、一寸分別臭く云って見ます。)
島田で書いた手紙のように、お父さんは私の云うこともおわかりになりますし、別れの御挨拶をするといかにもお心のこりの風でこちらが困るような感情もおあらわしになるが、やはり公平に見て春よりはお弱りです。それでも実にきれいな舌をしていらっしゃる。あれでもっていらっしゃるのでしょう。行ってようございました。お母さんも琴平へ強行的小旅行をなさっても次の日腰が痛い位のことでお元気ではあるが、私は呉々お金よりも体、ということを念頭にお置きになるようおすすめしました。あなたもこの次お書きになるときには呉々もそのことを仰云って上げて下さい。
例えば私が島田へ往復二等にする。そのことが体のために必要であるということを実感としておわかりになったのは、今度の四国ゆきの御経験からです。それまではゼイタクと思っていらしったことを、御自分で云って笑っていらしった。体を大切になさることが島田の家のために重大であることをよくおっしゃってあげて下さい。こちらから又腎
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