ャ春日和。
きのう野原からは夜八時半頃かえりました。皆よろこんでいて、くれぐれあなたによろしくとのことでした。今あの家には小母さんと冨美ちゃんと河村さん(小母さんの弟さん)とその姪という方とです。河村さんは下松《くだまつ》の方につとめ口が出来て、あっちに家が見つかり次第ゆく由。下松は借家払底で、一畳一円で家がないそうです。河村さん、あなたのお体について心配していました。くれぐれもお大事にと。
野原の小母さんは家がのこるので本当におよろこびです。私たちもよかったと思います。小母さん曰く、いつか二人でかえって来てくれてもとめるところがあってうれしい、と。ハモ[#「ハモ」に傍点]の御馳走になったりしてお墓詣りをして、かえりに切符をかって来たら、お母さん、もし都合がついたら琴平さん[自注19]へ詣でて来たいというお話です。来年の秋でもゆっくりおともしましょうと話していたのですが、もし達ちゃんが召集されでもしたらというお気持もあるので、急にお思い立ちになったのでしょう。今時間表をしらべているところです。
お母さんも永年のお疲れで、この間腎盂炎をおやりになってから、すっかり御全快ではなく、台
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