ナ保田からかえって来ました。勤め一ヵ月休み月給もらっていて、又つとめるのです。今度は仕事ぶりを整理してすこし疲れを減らしたいと云っていますが、うまくゆけばよいが。――
島田のお母さんから先日伺った菊池、越智氏のことについて御返事が来ました。お母さんのお話では、あなたの思いちがいでいらっしゃるようですよ。当時あなたがひとの[#「の」に「ママ」の注記]迷惑をかけるのを大層いやがっていらしたので、ずっとお家で出していらしったとのことです。何かの覚えちがいしていらっしゃるのかしら。そのような金は一銭もないと仰云っているのですけれど。――何か其那話[#「話」に傍点]でもあったのではなかったでしょうか。
それから島田と野原の負債の表をつくるようにとのことで、私こまってしまっているのです。それはね、お母様が手紙はあなたへおつたえしたら置いておいてくれるなとおっしゃったので、又材料がなくなっている。そう度々きいて上げることも出来ず。どうかあしからず。
野原の方も、このお手紙によると買手が二三人ついたそうです。そして主屋《おもや》とその敷地ぐらいは十分のこる勘定になるそうです。そう例の爺さんがお母
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