のまま木版にして検印用の印をつくった。
[#ここで字下げ終わり]

 一月十八日(消印) 〔市ヶ谷刑務所の顕治宛 目白より(はがき)〕

 此度左記へ転居致しましたから御通知申上げます。
  一九三七年一月
    東京市豊島区目白三丁目三五七〇
                   中條百合子

 一月二十八日 〔市ヶ谷刑務所の顕治宛 目白より(封書)〕

 一月二十八日。第二十八信。薄晴れ。火鉢のない正午四十二度。
 一月の二十三日に是非お目にかかりたいと思っていたところ、その日は土曜日で時間が間に合わず残念をいたしました。二十五日のときは、大変いろいろもっと伺いたいことがあったのに、話している心持が中断されたままであったので、今日でもまだ何だか、いつものこれ迄のようにいい心持でない。きっと貴方の方もそうでいらっしゃるでしょう。とにかくお風呂に入れるようにおなりになったことはうれしい。さぞ久しぶりのときはいい心持だったでしょう。湯上りに、水でかたくしぼった手拭《てぬぐい》で、きつく体を拭くこと。風邪よけに。
 ところで。私の本年に入ってからの手紙は一月八日に林町から第二十六信を出し
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