あがりつつある。小学校教師の月給も同じだ。五ヵ年計画の終りに、農村の小学校教師は八十七ルーブリ、都会の小学校教師は百ルーブリになる。現在(一九三〇年)は平均五十八ルーブリだ。
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教員養成学校生徒の社会層(一九二六年)
 労働者    一四・六
 農民     五三・九
 勤人     二〇・四
教員専門学校生徒の社会層
       一九二五年   一九二七年
 労働者    一五・五    一二・五
 農民     三一・〇    二八・三
 勤人     三四・八    三五・七
 其他     一八・七    二三・五
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 この数字はもう古いが、それでもなおソヴェト同盟の農村で文化はどの位急速に向上しつつあるかが分る。
 ひっくるめて、一人ずつ児童頭割の教育予算がどの位殖えるか見よう。
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児童一人宛教育年支出予算
 一九二八年  二七・〇(ルーブリ)
 一九三三年  五八・三(ルーブリ)
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 ところで、小学校における児童の就学率をよくするためには、学齢以前の教育文化設備ぬきには出来ない。
 ソヴェト同盟は勤労婦人の重荷を軽くするため、同時に幼い兄姉たちを自由に勉強させるために、工場、集団農場を中心とする幼稚園、托児所、子供の遊び場の設備拡大を、やはり五ヵ年計画で実現しつつある。
 費用は三億五千万ルーブリだ。
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幼児のための設備拡大率 収容人員(単位千人)
       一九二八年  一九三三年    増大率
 幼稚園     一〇七    二一七  一〇二・二パーセント
 子供の遊び場  二〇三    五〇五  一四九・三パーセント

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――あらゆる技術をプロレタリア・農民の手に――
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 モスクワのクレムリンのわきにモスクワ第一大学がある。そこの建物の破風に「あらゆる学問を勤労者に」という文句が金字で打たれている。
 今から十七年前、帝政ロシアの資本家・地主と僧侶の支配下のロシアで、勤労大衆のために中等教育施設がどんなものだったかは次の表を見ても明かだ。
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一九一四年度ロシアの中学校、実務学校、予備学校における学生の出身階級の分布
 世襲貴族の子弟    六・三
 貴族及高官(
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