由に本の借り出しをされる。わたしもそこで随分世話になった。
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ソヴェト同盟の図書館数
一九二六年 二二、一六三
一九二八年 二二、九八二
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五ヵ年計画は図書館をこの上に五〇パーセントふやしはじめた。これは固定図書館だ。移動図書館は四万にふえる。
本を読むのには図書館の外に農村では「読書の家」というものがある。
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一九二八年 二一、八七六
一九三三年 三八、二八三
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図書室、文学、音楽、美術、体育、政治などの研究室をふくむ勤労者クラブその他は、五ヵ年計画とともにこんな工合に殖えつつある。
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クラブ 七六四六(五ヵ年計画以前に比べ二四・九パーセント増)
農民の家 六八二〇(同 二五パーセント増)
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――国庫全額負担の小学校――
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さて、一九一七年の十月のプロレタリア革命の後、ソヴェト同盟で、子供はどう教育されて行くかということが、世界各国からの、鋭い興味と観察の的だった。
何故なら、ブルジョア教育家たちは、プロレタリア革命というものの真実を理解しない。所謂「個性」の華々しい発展は社会主義共和国の教育で大虐待をうけるだろうと予想した。個人の才能、傾向、性格、そんなものは蹴散らされ、たった一つの鋳型=共産主義教育にうちぬかれた機械人形のような子供らが出来るのだろうと思っていた。
ところが、一年一年経つうちに、皮肉で批評的なブルジョア国の観察者たちも段々感心しはじめて来た。現在では、帝政ロシアをソヴェト同盟にしたプロレタリア革命や社会主義的な生産関係や、つまり新しくて人間らしい教育制度のしかれる階級的な土台であるいろいろの条件については依然として反動的な批評をするものでも、ソヴェト同盟の子供の教育方法は参考にすべきだと云うようになって来た。
成程、ソヴェト同盟はプロレタリア独裁の国だ。社会的生産に関与する社会労働が基礎になっているから、小学校にしろ、ただ小学校とは云わず単一勤労学校と云う名称だ。
子供は小さいときから社会的勤労・生産・社会主義の建設とはっきり結びついた教育法にのっとって育てられて行く。例えば第一学期は「春[#「春」はゴシック体]」と云うコンプレックス
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