ることを自覚して来たのであった。
ロシア・プロレタリア作家連盟(ラップ)が右翼「同伴者《パプツチキ》」の反革命的要素と飽くまで闘争しながらも、自己の陣営内で、極左的傾向を注意ぶかく批判したわけがここにあるのである。
プロレタリア詩人、ベズィメンスキーは、一九二九年、ラップが「大衆の中へ!」というスローガンをかかげていた頃「射撃」という詩劇を書いた。
或る電車製作工場内におけるウダールニクの組織のための闘争とそのウダールニクの献身的な活動の歴史を描いたもので、ベズィメンスキーは、五ヵ年計画の第一年目、モスクワにウダールニクがまだたった十三しかなかったときに、この詩劇を書いたのであった。
題材はソヴェトの現段階にとって生々しいものであった。彼がこの主題に着目したことには積極的な価値があった。けれどもこの主題の理解のしかた、扱いかたに問題があった。
ベズィメンスキーは「射撃」の中に、社会主義的善玉・悪玉を簡単に対立させた。その電車製作工場内に、ウダールニクを組織したコムソモールを中心とする男女労働者は、階級的誤謬を犯したいと思っても犯せないような善玉。対立して描かれている工場内反革
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